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● TBSミュース
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asahi.com 2012年1月18日
http://www.asahi.com/edu/center-exam/TKY201201180154.html
東大「秋入学に全面移行」案 中間報告、学内なお異論も
東大のワーキンググループが想定する秋入学
入学時期のあり方を検討してきた東京大学のワーキンググループ(座長・清水孝雄副学長)は、従来の4月入学を全廃し、海外で主流である秋入学への全面移行を求める素案を中間報告としてまとめた。
国際的な大学間の競争に対応し、学生の海外留学を促すことなどを理由に挙げている。
東大は今後、この素案を元に各学部などで本格的に検討し、年度内の決定をめざす。
学内の合意形成ができれば、経済界など関係先への説明を進め、告知期間を経て早ければ5年後に導入したい意向だ。
ただ、学内には「最優先課題なのか」などの異論もあり、実現性は不透明だ。
中間報告は、留学生の受け入れや送り出しの人数が海外有力大学に劣ることや、春学期(4~9月)の途中に夏休みが挟まることなどを、4月入学のデメリットとして指摘。
秋入学に移行することで留学の機会が「確実に広がる」とした。
4月入学と秋入学の両方を実施する複線化は、「コスト面で困難」として全面移行を求めている。
すでに複線化している大学院については、検討を続ける。
入試時期は従来通りとするため、入試で合格してから入学するまでに半年間のずれ(ギャップターム)が生まれる。
この期間の使い方として、研究や勤労体験、ボランティア、国際交流など13項目を例示。
「受験競争で染み付いた偏差値重視の価値観をリセット」
し、教わる姿勢から学ぶ姿勢に転換する機会にする、としている。
この期間の過ごし方に大学がどの程度関わるかは、今後の課題となる。
一方、卒業時期は入学から4年後の秋と、その翌春の双方を併記した。卒業も秋になれば、企業の新卒一括採用との間にも時期のずれが生じる。各種の国家試験などと、時期がミスマッチにならないかも課題だ。有力大学の間では、秋入学の本格導入に慎重論も少なくない。
このため東大は、秋入学の導入へ向けて学内の合意ができれば、他大学、社会、政府の幅広い理解と協力が大切だとして、特に企業には採用時期をずらすなどの対応を求めていく方針だ。
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〈東大の秋入学検討〉 大学の国際化をめざす浜田純一総長の主導で、昨年4月に総長直轄のワーキンググループ「入学時期の在り方に関する懇談会」を設置。
副学長2人や教授らで検討を進めてきた。今後、学内の議論を経て最終報告を出す。
大学としての最終的な意思決定は、総長や理事らでつくる経営協議会などが行う。
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毎日新聞 2012年1月21日 東京朝刊
http://mainichi.jp/life/edu/news/20120121ddm041100055000c.html
大学秋入学:検討協議会、参加校「前向き」 「社会の理解も必要」
東京大が秋入学を検討する大学間の協議会設置を呼びかけたことについて、名前が挙がった各大学からは議論に期待する声も聞かれた。
秋入学の検討委員会を来月にも発足させる九州大は、福島泰広報室長が
「正式要請があれば会合で議論したい」
と述べた。
北海道大や東京工業大も参加を前向きに考えるという。
清家篤・慶応義塾塾長は
「(秋入学の)必要性や課題についても東大と問題意識を共有する部分も多い」
といい、一橋大の山内進学長は
「グローバルな知の共同体を作り上げるため、一重要項目として秋入学を検討することは必要」
とのコメントを出し、議論の必要性を強調した。
東北大の井上明久学長は
「世界では7割以上が秋入学。
東大主導というより東北大が主体的に考えたい」
と意欲を示した。
一方、大阪大は
「現時点で全く中立的な立場。東大の提案を踏まえて今後検討したい」(日比謙一郎総務課長)
と、秋入学の賛否について言及を避けた。
名古屋大の山本一良理事・副学長は
「検討するのは良いことだが、社会的コンセンサスがなければただのわがまま。
実現に向かうかはこれからの議論だ」
と話した。
◇部活動など課題も
東大の浜田純一学長は20日の記者会見で、入学時期を国際標準に合わせる意義を強調した。
他大学と連携して導入を図る考えだが、ギャップタームの過ごし方や春一斉に新卒者が入社する日本の就職慣行、あるいは大学運動部のスケジュールなど課題も浮かぶ。
東大をはじめ一部の大学が秋入学に移行した場合、教育研究や就職だけでなく、部活動などの大学間交流にも影響する。
スケジュールがずれれば、春秋にリーグ戦を行う東京六大学野球などの定期戦の日程も見直しを迫られそうだ。
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毎日新聞 2012年1月21日 東京朝刊
http://mainichi.jp/life/today/news/20120121ddm001100004000c.html
東大:秋入学で呼びかけ 12校で検討、4月に協議会 経済界とも議論
東京大は20日、学部の入学時期を春から秋に全面移行することを求めた学内の懇談会の中間報告を正式に公表した。
浜田純一学長は記者会見で、4月をめどに京都大など12大学で秋入学を検討する協議会を作り、さらに大学側と経団連など経済界との間でも協議会を設置することを表明。
複数の大学での移行を目指す考えを示した。
協議会では、入学や卒業の前後に生じる隙間(すきま)の期間「ギャップターム」(GT)の過ごし方や企業の新卒採用時期の弾力化について議論する。
浜田学長は秋入学の実現まで5年前後をめどとし、このうち2年程度で条件整備について他大学や経済界と議論し、残りの3年を周知と調整の期間に充てるとした。
また
「取り組むべき課題は山のようにあるが、ひるむことなく、できるだけ早く実現していきたい」
と述べた。
浜田学長は昨年12月から
「秋入学の実現」について、京都大など旧6帝大に加え、筑波大、東京工業大、一橋大、早稲田大、慶応大の計11校に協議を呼びかけ、会見でも「単独ではなく必ず他の大学とやる」
と意欲を見せた。
慶大とは既にGTの活用方法について意見交換に入ったという。
大学側と経済界との協議会は、経団連や日本商工会議所など20程度の経済団体に参加を求めるという。
個別に代表的な企業の人事担当者と議論することも想定している。
いずれの協議会でも、GTで海外学習やボランティアなど体験活動を推進する仕組み作り、企業の採用時期や方法の見直しが課題になる。GTの過ごし方の試行も実施するという。
また、東大は入試についても、国際化などの課題に対応できるよう見直しを進めている。
浜田学長は、入学時期と入試のあり方の見直しを同調させるのが理想との考えも示した。
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◇秋入学に関する協議会の構成
<参加大学>
東京大▽北海道大▽東北大▽筑波大▽東京工業大▽一橋大▽慶応大▽早稲田大▽名古屋大▽京都大▽大阪大▽九州大
<経済界>
経団連、日本商工会議所など
<主な課題>
▽ギャップターム(春の入試後から秋の入学までなどの隙間の期間)で体験活動を推進する仕組み作り
▽企業の採用時期や方法の見直し
東大:秋入学導入 浜田学長“国際標準”を強調
東大:秋入学 12大学で検討協議会 経済界とも議論
東大:秋入学移行へ 大学の国際化進める
発信箱:バラバラでいこう=福本容子(論説室)
東大:秋入学移行 東北大も賛意
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