2012年1月6日金曜日

「キメラ」のサル、誕生

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● 世界初の「キメラ」のサル=米オレゴン健康科学大学提供



2012年1月6日10時43分 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20120106-OYT1T00277.htm?from=navlp

世界初「キメラ」猿…遺伝的に異なる細胞混在

 【ワシントン=山田哲朗】遺伝的に異なる2種類以上の細胞がモザイク状に入りまじった「キメラ」のアカゲザルを作ることに米オレゴン健康科学大学が世界で初めて成功した。

 米科学誌「セル」電子版で5日、発表した。

 同大の立花真仁研究員らは、人工授精で作った複数の胚(受精卵)を凝集させたうえで母胎に戻したところ、健康な子ザル3匹が生まれた。 
 全身が、3~6種類の胚に由来することを確認。本来、別々に生まれる「兄弟」の遺伝子が混じっていることを意味する。
 うち1匹は、最大6種の胚が混合していることから、日本語で「ロク」と命名した。

 マウスではすでに、胚性幹細胞(ES細胞)からキメラ個体を作ることは一般的。 
 黒い毛のマウスと白い毛のマウスを使ってキメラを作ると、子供は白黒のまだらになる。
 しかし、サルではこの方法は通用せず、ES細胞より早い段階の「4細胞期」と呼ばれる胚を使う必要があった。


 「キメラ」とは何?
 Wikipediaから。

 生物学における キメラ (chimera) とは、
 同一個体内に異なった遺伝情報を持つ細胞が混じっていること。
 またそのような状態の個体のこと。

 この用語はギリシャ神話に登場する伝説の生物「キマイラ」に由来する。
 近年は「キメラ分子」「キメラ型タンパク質」のように
 「由来が異なる複数の部分から構成されている」
意味で使われることもある。

 植物
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 植物では、異なる遺伝情報を持つ細胞が縞状に分布するものを区分キメラ、組織層を形成して重なるものを周縁キメラと呼ぶ。
 それらは成長点細胞の突然変異や接ぎ木で生じることがある。

 動物
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 脊椎動物には移植免疫があるため、生体でキメラを作ることはできない。
 医学・獣医学では、2個以上の胚に由来する細胞集団(キメラ胚)から発生した個体を指す。
 例としては、ニワトリとウズラのキメラがある。
 また、キメラ胚由来ではないが、1個体が異なった個体由来の血液細胞を同時に持っている状態を血液キメラという。
 1つ胚に由来しているが異なる遺伝情報を持つ細胞が部分的に入り交じるものをモザイクと呼び、キメラと区別する。
 モザイクはキメラよりはるかに頻度が高い。

 ヒトキメラ
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 多くは血液キメラである。
 双生児の胚はしばしば胎盤における血液供給を共有しているため、血液幹細胞がもう一方の胚へ移動可能で、移動した血液幹細胞が骨髄に定着した場合、持続的に血液細胞を供給するようになり血液キメラが作られる。
 二卵性双生児のペアの8%ほどは血液キメラである
 双生児でない場合の血液キメラも知られているが、これは妊娠初期に双生児の一方が死亡し、生存している方に吸収されて血液キメラが生じたと考えられている。
 2つの受精卵が子宮内で融合して1つの胚となった場合に作られる
 「真のヒトキメラ」
は1994年のイギリスで生まれた少年の例など僅かしか知られていない。
 なお、この少年は体外受精で生まれている。

 生殖系列キメラ
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 生殖系列(精巣と卵巣)が置き換えられたキメラ。
 胚盤葉細胞キメラまたは始原生殖細胞キメラから作られる。




山梨日日新聞 2012年01月06日(金)20時38分
http://www.sannichi.co.jp/kyodo/news2.php?genre=Science/Environment/Health&newsitemid=2012010601001579

米で6匹の“親”持つサル誕生
大学チーム、受精卵接合


●最大で6匹の親から遺伝情報を受け継ぎ誕生したアカゲザル(米オレゴン健康科学大提供)

 体細胞クローン技術を応用して、6匹の“親”から遺伝情報を受け継いだアカゲザルを誕生させることに、米オレゴン健康科学大のチームが成功し、6日までに米科学誌セル電子版に発表した。

 異なる遺伝情報の細胞が混ざった生物は「キメラ」と呼ばれ、マウスでは広くつくられているが、サルでは初めてという。

 チームは、細胞分裂を始めた直後のサルの受精卵(胚)を数種類集めて接合、一つの受精卵が育ったのと同じような状態をつくることに成功。
 その上で母ザルの子宮に着床させたところ、3匹の子ザルが生まれた。






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